秋色コントラルト

屋上にて思考に耽るのは
視界の端を過ぎるのは色づき始めた薫り
あおの高さに嘆いたりしない
月の満ち欠けの予測を君に
貴方が呟いたのは聞かないフリをして
滑り落ちたのは確かきっと
急速に冷えゆく朱色を掴んで
淡ささえも塗りつぶしてひとまとめにしたい
佇むことの曖昧さを嗤えばいい
秋風ファルセット
(滲み行く淡い熱の行方を追って気がつけば鼻先を冷やす風。 何となしに君に会いたくなるのは温度の下がった空気の所為。きっと。 )