虹色

君の得意な愛のうた
夕暮れに沈むのは大きな大きな嘘
甘く見えるのは幻想かしら
君の唇が描いたコトバ
ただただその言葉が想いが愛しくて愛しくて
アイさえあればなんて僕らの世代じゃ流行らないし
女の子は甘いものが好きだなんて過去は昔
戸惑って躊躇した唇を見ないで
思い出に火をつけて燃やし尽くして
僕のために君に幸アレ。
(赤:嘘を重ねて唇から思わずもれた告白さえも隠して)
せめてこの僕に甘い涙を!
このままもう少し橙が消えて深い色に染まるまで
縋った先の体温が温かくて妙に心地よかったから
何が変わったかな、何が変わらなかったかな
大声で言えばいえた分だけ届くとは思っていないけれど
記憶ってどうして消えてくれてはくれないのかな
吐き出した言葉と溜息だけが温かかった
別に大事にしているワケでもないけれど、捨てる理由もないし
君の作り笑いが僕を苛立たせる
そう、普遍のものなんてないはずなのにな
(橙:変えることなどましてや忘れることだって許されやしないその記憶)
まだ間に合うよって君の声が響いた
炭酸水の弾ける音とワルツのリズム
今日はいいお天気だから深くは言わないで上げる
はしゃいだ光をほら、君にあげるよ
静けさの後の音を捕まえて
過剰な期待は封印して僕は君の横を通り過ぎる
あざとい愛をどうか頂戴
もう君の顔もはっきりと思い出せないよ
鏡を覗き込んでみても昨日の僕とは変わりなくて
じゃあ夢にはみてくれた?
(黄:絶対に頷く事などない君との曖昧な関係)
遠いか近いかなんて判断できないけれど確かにそこにはあって
僕の手持ちの言葉では伝えきれないかな
君の声で僕は溜息が吐けなくなる
あなたに言い忘れたことがあったんです
消えてゆくのは届きもしない想いばかり
青春なんて古臭い、恋愛なんて面倒くさい
驚くほど強い悲しみだって日常生活には敵わない
「気まずい」なんて言葉が必要な関係かい?
思い出されるのは不規則に歪む君との記憶
馬鹿馬鹿しいほどの一人遊び
(緑:形になれば伝わらなくとも受け取られなくとも)
溢れてしまえばそれきり、次から次へと止め処なく
忍び寄ったぬくもりに手を伸ばせば
伝い行く雫のキセキを眺めている
言葉が届くのなら「-------」と言いたい
そのペン先が綴るのは誰のためのもの?
君との逢瀬はいつも最近億劫
要らない、言えない、眠れない。
本当は無くしたのではなく自ら手放したんだ
諦め気分で空を仰いでサヨウナラ
さぁ、申し開きをどうぞ?
(青:無理だと気が付いているのに手を伸ばしている、ずっと)
想いが揺らぐからどうか名前を呼ばないで
今だけは振り向くな
置き去りにしたくなるようなその疑問
君が作る影にそっと足を踏み入れて
ほろりこぼれて藍色の痣を残すのは雫
君の顔が無表情に歪んでもうどうしたらいい?
いっそのこともう全てに引きずり込まれてしまえ
完成したのは全て自己満足の世界だった
「何でもない」なんて苦笑い零して目を伏せて
手紙の返事がないという事実を
(藍:諦めの篭るその感情を決意と共に)
少しだけ、少しの間だけ騙されて
瞬きすら許されないような気がしてその瞬間を
追われ追いかけ鬼ごっこ
とりあえず空眺めて願いでもかけて
あの言葉は嘘ではないとそれだけの嘘を下さい
さよならと告げておくだけだって十分
夢の中で吐く溜息
涙は溜まったけれど、泣けやしなかった
どっちでも変わらないし変わりはないだろう?
正気か冗談かなんて誰も決められやしないさ
(紫:ほんとうはほんとうはほんとうは、)
(光のプリズムを弾いて君が笑った。)
〔色イメージ:表5題+裏5題=10題〕