日常シーン
爪を整えながら君は僕の話を聞く。
僕らの曖昧な関係にお似合いなこの空気。
その綺麗に出来上がった爪で君は何に触れるっていうの(それはきっと僕なんかじゃなくて、)。
君から見たらそっち向きでも僕から見たらこっち向き。
向かい風も僕が反対側へ行けば追い風になるの?
何か変わってやしないかと、怖々期待半分でゆっくり目を開けてはみたけれど。
目の前に広がるのはただただあるだけの、色。
綺麗事でしかないはずだって何だって、それにだってしがみついてみせる。
君のためじゃない。
本当は「君の中にあるワタシ」の為に。
作り物はつまらないなんて事はない。
皆が嘘だと気付いているのに何時まで信じていられる?
世界のどうしようもなさに気が付きながらも目を瞑る。
白く煌く青のライン。立ち上がる湯気が照らす向こうは何の色?
別に飽きたわけじゃないんだ。疲れきってるわけでもないんだ。
ただ、今はちょっと気分が優れないだけなんだ。
僕らは絶対時計を見ない。
残り時間を気にしてみたりなんて、しない。
幸せになろうと思えばなれちゃうよ。
それなりに生活だってできちゃうよ。
だって、その重さなんて所詮、
煙をノドまで入れずに口に溜める、ノドがちりちり痛んでくる位まで。
息が苦しくなったら少しだけ吐いて、代わりに角砂糖を齧る。
砂糖と煙草で一人遊び、あなたのキスに似た味で一人遊び。
(君が居て、僕が居る、それだけの風景。)
〔一文ずつばらしても、混ぜても可。お好きに。〕