残暑より

泣きたくなるほどの音に押しつぶされないように拳を握り締めた
音を残して過ぎ去ったのは風だけじゃなくて
そういえばあれはなんて思い出すのはいつもいつも
グラスの雫が描いた円の跡
網膜に焼き付いて離れないのはしっくりと縁取られた黒い影
熱さを感じるのにどうしてかそのあたたかさは心地よくて
その音が鳴り止むまでどうか待って
キミが涙を零したのは多分あの日で
陽炎が残した色を追い駆ける
例えばそんな話
(終わっていく空気をもう少しだけ、)
bgm:夏の声(Ramine)